JAグループ高知での環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加反対運動が展開される中、県内の農業者の間でも反対に向けた動きが活発化している。特 に、各JAの青壮年部ではJAと連携した運動や独自の活動を行っている。そのような青壮年部員の代表として、高知県農協青壮年連盟の橋本拡巳委員長に TPPに対する考えや青年部の活動について聞いた。
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――TPPについてどのようにお考えですか。
断固として反対だ。TPPに参加して全ての関税が撤廃されれば、農業は壊滅的な打撃を受け、地域が崩壊してしまう。農家がいなくなり、関連する産業も成り立たなくなり、商店や役場も客や税金が入らなくなる。このような負の連鎖が広がり、最後は地域全体が崩壊すると思う。
――そういう事態を避けるため、連盟ではどういった活動をしていますか。
JAとの連携を基本に、各青年部やJAの勉強会に参加して、TPPについての情報を収集し、農業者や地域住民から理解が得られるよう情報を発信し ていくことにしている。他にもJAや全青協が行う署名活動に協力したり、各青年部の総会での反対決議もしていく予定だ。また、全国段階でのデモ行進やちら し配りなどにも参加している。今月16日には、JA全国青年大会後に行われたデモ行進に本県から50人近くの青壮年部員が参加した。
――周りの農業者の反応はどうでしょう。
連盟や青年部の役員などは意識の高い人が多く、運動にも積極的だ。昨年末に県段階で開いた「青壮年部TPP対策会議」では、忙しい時期で緊急の開 催にも関わらず、役員をはじめ100人近い人が出席してくれた。しかし、マスコミなどの情報が少ないのでぴんときていない人もいるようだ。
――農業者以外はどういう認識だとお考えですか。
私の知り合いだが、農業者でもJA職員でもない人で、強く反対している人がいる。その人は「反対の意思をどこで訴えればいいか分からない」と言っ ていた。TPPに参加すれば、地方経済全体に影響が出るので、危機感を持っている人は多いと思う。地域に根差した農業者の団体として、そういう人たちの意 見をつないでいき、一般の消費者と農業関係者の橋渡しをすることも、今後は検討していきたい。
――最後に県青壮年連盟委員長として、県内の農業者に呼び掛けを。
今後も積極的にTPPについて学び、勉強したことを地域の人に説明していってほしい。農業だけの問題じゃない、高知県全体の問題だということを理 解してもらい、反対運動を県全体での大きなものにしていき、なんとしても地域を守れるよう働き掛けていきたい。(聞き手・JA高知中央会・吉本孝史)
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